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3Dマイクロフォン収録データ解析ツール OnView
OnViewとは

3Dマイクロフォン収録データ解析ツール「OnView」は360度全方向からの音を可視化した「音配図®」を安価な装置で実現することが可能なソフトウェアです。

Product Outline 製品概要

OnViewは、3Dマイクロフォンで録音したデータから到来する音の強さを空間分布で計算し、安価かつ容易に360度全方向の音源を可視化するソフトウェアです。
この全方向音源を可視化して表示することを「音配図®」と呼び、広範囲の音響情報を必要とする建設・建築現場などでの活用が期待されます。

国立研究開発法人 産業技術総合研究所、株式会社安藤・間、佐藤工業株式会社、株式会社長谷工コーポレーション、株式会社CAEソリューションズが共同で開発しました。

 

  • 市販の3Dマイクロフォンを用いて360度すべての音源の方向情報を収録・分析
  • 音がどの方向からどのくらいの強さで到来するかを可視化
  • 音源探査の簡易化、省力化を安価に実現
  • 日常生活見守り技術への応用に期待
  • 音配図

Features 特徴

A-Format,B-FormatのWAV形式3Dマイクロフォンデータの読み込みW,X,Y,Z成分の音源波形を同期表示可能

  • W,X,Y,Z成分の音源波形を同期表示可能

指定時間帯の音源波形のプレ処理に様々なフィルタ処理を実装

  • A特性補正
  • 1/Nオクターブバンドフィルタ処理
  • バンドパスフィルタ処理

指定時間帯のスペクトログラム色階調表示

  • 指定時間帯の音源波形のプレ処理に様々なフィルタ処理を実装

音源の方位角、仰角の解析処理と色階調表示

  • 音源の方位角、仰角の解析処理と色階調表示

極座標および直交座標表示による音配図表示

  • 極座標および直交座標表示による音配図表示

音配図結果に360°画像の重ね合わせが可能

  • 音配図結果に360°画像の重ね合わせが可能

Operating Environment 動作環境

OS

Windows10以降 64bit

CPU

IntelまたはAMD製

メモリ

4GB以上

ストレージ

SSD推奨

 

Case 事例




OnView case 3.png(↑画像4)OnView case 4.jpg(↑画像5)
OnView case 5.jpg(↑画像6)OnView case 6.jpg(↑画像7)OnView case 7.jpg(↑画像8)
OnView case 8.jpg(↑画像9)

自動車走行音の抽出

OnViewを用いて、強風下で歩道橋の上から録音した自動車の走行音を可視化しました。

 

[使用機器]
・3Dマイクロフォン
 Zoom社 H3-VR
・360度カメラ
 RICHO THETA SC2
 

[録音した状況]
録音した場所は、谷底に道路があり、それを渡るように歩道橋がかかっています。歩道は前面から後面になり、車道が左右に走っています。ただし車道自体は若干右後方に弧を描くように曲がっています。
かなり強い風が左前面から吹き付けており、ときおり他の音が聞き取れないほど強くなっています。
また右前面には3階建てのコンクリート建物も建造中で作業が要因の音も発生しています。
左前面は、森林であり、左後方、右後方は10階以上ある集合住宅となっています。

 

[解析対象音]
約17秒の録音データを解析対象としました。左側から右側に移動する走行音とおよそ5秒前後、9秒前後で他の音をかき消すほどの風切り音が録音されています。

 

[解析について]
風切り音がかなり強いため、このままだと可視化の際に風切り音も含めて可視化されてしまいます。
ここでは、OnViewの機能を用いて自動車走行音及び葉擦れ音の可視化を試みました。

 

[処理概要]
4KHzまでの周波数分析により、風切り音の特に強い部分では1000Hz以下の成分が多く含まれていることがわかります(画像4)。この周波数領域を避け、1500Hz-2500Hzを通過領域とするバンドパスフィルターにて信号処理後に音源可視化を実施し、音配図にしました。

 

[走行音の音配図]
17秒全体を1500-2500HzのBPFによりフィルタ処理したデータを音配図にしました(画像5)。左右の道路方向の音源が可視化されました。録音の前半のみを同じ条件で解析すると左側の道路方向のみ音源が解析されました(画像6)。後半の録音データでは、右側の道路方向のみ音源が可視化されました(画像7)。走行していた車は左側から右側に走り抜けており、可視化の結果と一致します。

 

[葉擦れ音らしき音配図]
100Hz-500Hzの低い周波数成分のみで5秒前後の強い風切り音を後半に含む3秒間を処理し音配図を作成しました(画像8)。走行音はほとんどみてとれず、影響を除外できたと思われます。ただし大きくまとまった音源もみてとれませんが、左前方の森林部分にいくつかの音源があることがわかります。これは葉擦れ音である可能性があります。

 

[処理結果について]
走行音を分離し可視化することができました。また時間を分けて処理をすることで移動方向も判別できています。一方で、フィルタ処理により走行音以外の部分の可視化を行うこともできています。これらより、周波数の異なる音源の到来方向の可視化により、騒音などの発生要因の検討の効率化が期待できます。
 

[処理画像について]
OnViewで360度画像と処理結果を重ねた音配図を画像データとして保存可能です(画像9)。保存した画像は、「RICHO THEATA」などの360度画像表示ソフトで表示可能です。

OnView case 10.jpg
OnView case 11.jpg
OnView case 12.jpg OnView case 13.jpg 
OnView case 14.jpg

公園内の鶯の鳴き声の発生源

OnViewを用いて、録音した鳥のさえずり(鶯)の到来方向を可視化しました。

 

[使用機器]
・3Dマイクロフォン
 Zoom社 H3-VR
・360度カメラ
 RICHO THETA SC2
 

[録音した状況]
都内の公園内で風の強い日中に録音(撮影)しています。
風は撮影位置の前面の左右方向の歩道部分に沿って、吹き抜けている状況です。

 

[解析対象音について]
風切り音と鳥(鶯)の鳴き声が混ざった状態で録音されています。
このままだと可視化の際に風切り音も含めて可視化されてしまいます。
ここでは、OnViewに搭載されているバントパスフィルターを用いて鳥の鳴き声に対応する周波数のみを抽出し、可視化処理を行いました。

 

[処理概要]
2KHz-4KHzを通過領域とするバンドバスフィルターにて信号処理後に音源可視化処理を実施、音配図にしました。

 

[処理結果について]
極座標表示の音配図から右後方、ほぼ水平位置から多くの音が到来していることがわかります。
これを直交座標表示とし、OnViewの機能を使って、360度カメラで撮影した画像と重ね合わせました。
極座標表示から推察したように右後方、ほぼ水平位置からの到来音が可視化されています。そしてその位置は、木々の場所であることが画像からわかります。(同じ鶯かどうかはわかりませんが、撮影・録音直後に目視で同付近にて鳥を確認しています)
重ね合わせた画像はjpgとして保存することもできます。その画像データは、360度画像表示用のアプリを用いると全天球状態で表示させることも可能です。

 

[処理画像について]
OnViewで360度画像と処理結果を重ねた音配図はjpgとして保存することもできます。
その画像データは、360度画像表示用のアプリを用いると全天球状態で表示させることも可能です。

Price 価格

価格は「製品お問い合わせ」よりお問い合わせください。

FAQ よくある質問

Q. OnViewを使った具体的な解析の手順を教えて下さい。

A. 基本的な流れは次のようになります

1. 3Dマイクロフォンを使用した収音と360度カメラを用いた静止画撮影

2. 解析用PCでOnViewの起動

3. 収音データの読み込み

4. 可視化のための解析の絞り込み

 a. 解析範囲の指定

 b. 周波数解析条件の選定

5. 音配図の表示と360度画像との重ね合わせ

6. 解析範囲の変更

具体的な手順はこちらを参照してください。

 

Q. 今後の開発予定を教えてください

A. 大きな機能追加は次のように予定しております.

2024年内:24bitのWAVファイル対応

2025年前半:収音ファイルを読み込みながら解析、音配図を表示する機能

2026年前半:収音しながら解析、音配図を表示する機能

これ以外にもいくつかの機能を随時追加していきます.