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2色成形

専用の成形機(2色成形機)を用いて成形する射出成形方法で、2種類の異なる材料を組み合わせて、一つのものとして成形する方法のこと。

2流体モデル
Two fluid model。二相流数値解析法のひとつで解析ソフトによってはEuler-Eulerモデルなど名称が異なる。各相(例えば液相と気相)に関する独立した基礎方程式を連立して解析するモデル。界面を直接扱うことはせず、各相の体積割合で平均化した基礎方程式を連立して計算する。界面の影響は実験に基づいた構成方程式で取り扱うので、実験結果に裏付けられている範囲外の適用には注意が必要である。
LES
Large Eddy Simulation。乱流モデルのひとつ。流体の運動方程式であるナビエストークス方程式を空間的に平均化して解くモデルで空間平均モデルと訳される。計算格子より大きな渦は直接計算し、格子より小さい渦だけをモデル化する。計算格子を細かくすれば高い精度の結果を得ることができる。時間的な平均化を行わないので、流れ場の時間的変化を確認できる。RANSと比較して解析精度は高いが計算時間がかかり、計算負荷は大きい。
RANS
Reynolds Averanged Navier-Stokes。乱流モデルのひとつ。流体の運動方程式であるナビエストークス方程式を空間的・時間的に平均化して解くモデルでレイノルズ平均モデルと訳される。空間的・時間的に平均化するので計算コストを大きく削減できる。LESと違って2次元計算、定常計算にも使用できる。ただし時間的に平均化をするので、流れの非定常性の確認には向かない。
S-N線図

縦軸に応力振幅σa、横軸に破断までの繰返し回数Nをとって、疲労試験結果をグラフとして表したもの。

V/P切換

射出成形において、金型内へ溶融した樹脂を充填する際に、速度制御を行う充填工程から圧力制御を行う保圧工程に切り換えること。またこの切り替えのタイミングをV/P切替位置と呼ぶ。

VOF
Volume of fluid。気液の自由表面解析手法の一種で界面捕獲法のひとつ。気液界面は計算格子の液体充填率(液体の体積割合)F値の分布で表す。F値が1の領域は液体、0の領域は気体が占め、気液が共存する格子のみF値は0から1の値をとる。F値の輸送計算により界面の変形と移動を求める。界面をきちんと捕獲するためには計算格子を細かくする必要がある。
圧縮成形
熱硬化性樹脂に用いられる成形方法の一つで、適温に加熱した金型に流動性のある材料を入れ、圧力を加えて金型内に充填させ、加熱加圧を続けて金型内で硬化させ、圧縮成形品を作る方法である。
圧縮性流体
流体力学において圧力や温度による密度の変化が無視できないほど大きい流れのこと。一般的には流体が高速でマッハ数(=流速/音速)が0.3を超えた場合に圧縮性流体とされる。
圧力損失
流体が管路などを流れる際に失うエネルギーのこと。圧力損失に影響する主な要因に摩擦損失と形状損失がある。圧力損失が大きいということは流体が流れにくいということである。
安全率
製品を安全に使うための考え方であり、材料が破断する応力である基準強さを製品設計時に想定される最大応力である許容応力で割ったもの。
位相最適化
対象領域の外形だけに留まらず、穴を空けたりして制約条件を満たしつつ最適な形状を求める方法。内部的に材料の密度を最適化することで実施。
移動硬化
降伏曲面の大きさは変わらないが、その中心位置が移動する。
異方性
方向によって特性が異なること全般を指す。金属や樹脂も圧延や延伸を行うと異方性が生じるが、特に複合材料では異方性の度合いが強いので、設計に際して留意すべき。
陰解法
運動方程式を解くときに未来の値を用いて未来の値を計算する手法。収束計算を必要とするので1ステップあたりの計算負荷は高いが、時間刻みは大きくすることができる。
インサート成形

プラスチック(樹脂)の射出成形を用いた加工方法の一つで、金属などのインサート品と樹脂が一体となった成形品を作り出す成形法のこと。

ウェーバー数

Weber number。流体力学で用いられる無次元数で慣性力と表面張力の比を表す値であり、液滴や気泡の形状や挙動を左右する。ウェーバー数が大きい現象は慣性力の影響が大きく、液滴が分裂しやすいといえる。ウェーバー数Weは次の式で求められる。

ウェーバー.jpg

ウェルドライン
射出成形において、金型内で溶融した樹脂の合流部分が線状の跡となる現象の呼び名。
渦度

局所的な渦の強さを表すベクトル量であり、流体内の各点における速度ベクトルの回転で定義される。渦度Ωは次の式で求められる。

渦度.jpg

運動量保存式
流体力学における基礎方程式のひとつ。ある物体の運動量の時間変化率は、物体への外力の総和に等しいという物理の基本法則を流体に適用して表した式。
エアートラップ
射出成形において、複数のフローフロントの合流時に気泡が発生する現象のこと。閉じ込められた空気は、不完全な充填や保圧を引き起こし、最終的な成形品表面の外観不良の原因となる。
エジェクター
射出成形において、金型から成形品を突き出す機構のこと。
エネルギー保存式
熱流体力学における基礎方程式のひとつ。ある系の内部エネルギーは、熱と仕事の和に等しいという熱力学第一法則を流体に適用して表した式。
エンタルピ

熱力学において物質がもつエネルギーの総量で熱含量とも呼ばれる。温度に関する内部エネルギーと仕事量に関するエネルギーの和である。エンタルピH[J]は次の式で求められる。

エンタルピ.jpg

円筒座標系
円柱の中心軸からの半径方向(r軸)、周方向(θ軸)、軸方向(z軸)による座標系。円筒座標(R,θ,Z)から直交座標(X,Y,Z)への変換はX=Rcosθ,Y=Rsinθ,Z=Zとなる。
円筒度
円筒がどれだけ綺麗に丸く、まっすぐであるかを示す値。JISでは、「円筒形体の幾何学的に正しい円筒からの狂いの大きさ」と定義されている。
オーバーモールディング
ある材料で成形後、もう一つの材料でその上に成形を行う射出成型方法のこと。
オープンゲートホットランナー
樹脂射出成形用のホットランナーにおけるゲート方式の一つで、ゲートを開閉する機構がなく、常にゲートが開いている状態になっているもの。
オイラー表示
運動を記述する方法の1つ。空間に固定された座標系から見たときの運動を表す。流体の運動の記述には通常オイラー表示が用いられる。
温度伝導率
非定常熱伝導における物体中の温度応答特性を表す物性値であり、熱拡散率ともいう。 温度伝導率=熱伝導率/(比熱×密度)によって表される。
カートリッジヒーター
発熱体であるニクロム線を金属パイプ(シース)で覆ったヒーター。取り扱いやメンテナンスが容易なため、工場設備への熱源や装置への組み込みで使われることが多い。
会合角

射出成形において、金型内で2つの樹脂の流れが合流するときの間の角度のこと。会合角が小さいほど、ウェルドラインが強く現れる。

界面摩擦力
気液二相流において気液界面に働く摩擦力のこと。抗力係数、気泡径(液滴径)、密度、気液速度差などから計算される。
拡散方程式

物理量が均一化する現象を表現した方程式。例として、熱伝導方程式や濃度の拡散方程式があげられる。

角速度
回転運動において単位時間あたりに進む角度。単位は[rad/s]が用いられる。
ガスベント
金型内で溶融した樹脂から発生するガスを排気するための溝のこと。
ガス焼け
射出成形において、樹脂圧で圧縮された金型内の空気や樹脂からの発生ガスによって樹脂の温度が上昇、発火して成形品の表面が劣化、または燃えて炭化する成形不良のこと。
可塑化不良
射出成形では、樹脂の温度を上げて溶融させ流動できる状態にするが、この工程を可塑化と呼ぶ。可塑化が不十分なことを可塑化不良と呼び、成形不良の原因となる。
可塑化ユニット
樹脂材料に熱(シリンダからの加熱とせん断熱)と圧力を加えて溶融し、液状(またはそれに近い状態)にするユニット。
加速度
単位時間当たりの速度の変化率のこと。速度を時間で微分したもの。速度ベクトルの時間的な変化を示すベクトルとして加速度ベクトルが定義される。
型厚
射出成形における金型の厚みのこと。成形機によって利用できる最大型厚が決まっている。
型板(モールドベース)
金型の外周部を構成する部品群のこと。主に固定側型板と可動側型板から構成される2プレート構造と、主に固定側型板と可動側型板、ストリッパープレートから構成される3プレート構造に大別される。
型開閉時間
金型が樹脂成形品の突き出しのために開いた時点から、金型が閉じて射出のためにスクリューを送り出せるようになるまでの時間。つまり金型が開いている時間のこと。
型締めユニット
金型の装着や開閉、ピンを用いて成形後の製品の突き出しを行うユニットで、トグル式と直圧式に大別される。
型締め力
射出成形において、金型を締め付けておく力のこと。型締め力が足りないとバリが出やすくなる。
金型温調器
射出成形や押出成形など樹脂製品の成形加工に使用する金型の温度を一定に保つための装置のこと。
ガラス転移温度
樹脂はある温度以上に加熱すると、分子が運動しやすくなり軟質のゴム状態になるが、冷えていくと分子の運動が制限され、硬質のガラス状態になる。このガラス状態になる温度のこと。
環状流
気液二相流の流動様式のひとつで、液相流量が少なく気相流量が多いとき、液相が壁面上を液膜となって流れ、気相が流路中央部(コア部)を流れること。さらに気相流量を増やすと液膜の一部がちぎれて液滴となって気相中に飛散する。このような流れを環状噴霧流と呼ぶ。
幾何学的非線形
非線形条件による剛性の変化する要因の一つ。物体に対し大きな回転による剛体移動や大きなひずみが生じることで、荷重の向きや大きさが変化すること。
幾何公差
公差とは機械工学などで許容される差(ばらつき)のことである。幾何公差は、物の形や大きさ、位置関係などを制御する公差のことであり、「形状公差」「姿勢公差」「位置公差」「振れ公差」の4種類がある。
気泡流
気液二相流の流動様式のひとつで、ボイド率(気相の体積割合)が小さいとき、液相中に多数の小さい気泡が分散した流れのこと。通常、ボイド率が0.3以下のときに気泡流となる。
キャビティ
穴や凹みを意味する単語で、凹型状(雌型)の金型を指す。どちらも凹型の金型の場合、型が開くときに動かないほうをキャビティと呼び、動く方をコアと呼ぶ。
境界層
粘性流体のレイノルズ数が大きくなると物体表面や壁面で粘性の影響を受けて速度が急激に変化する部分が現れる。この壁面近傍の速度の小さい領域が境界層と呼ばれ、レイノルズ数が大きくなるにつれて薄くなる。通常、速度が境界層の外側の主流速度の99%に達するまでの領域が境界層と呼ばれる。また流体と固体の温度差によって急激に温度が変化する領域を温度境界層と呼ぶ。
境界非線形
非線形条件による剛性の変化する要因の一つ。複数の物体が接触することで剛性が変化し、接触状態や荷重ベクトル、拘束条件が変わるもののことを指す
共振点
構造解析において、構造物が外部からの荷重により固有振動を起こすことを共振と呼ぶが、外部からの荷重の周波数と構造物の固有振動数が一致すると大きく共振する。その周波数を共振点と呼ぶ。
強制対流
ファンやポンプなどの外部的な要因によって駆動される流れのこと。ファンなどによって駆動された流れが持つ慣性力と比べて浮力の影響はそれほど大きくないため、浮力の影響を考慮しなくてもよい場合がある。
局所座標系
全体座標系以外の座標系を指す。任意に指定することで、拘束や荷重の方向の定義ができる。
近似式

数学や物理学において、複雑な対象の解析を容易にするため、細部を無視して対象を単純化することを近似と呼び、近似によって導出された式を近似式と呼ぶ。

クーラン数

非定常計算において、計算間隔の1サイクルで流れが要素いくつ分進むかを示した無次元数である。クーラン数Cは次の式で求められる。

クーラン.jpg

陽解法ではクーラン数は1以下にする必要がある。陰解法では理論上は1以上でも可能だが大きすぎると計算精度が悪くなるので注意が必要である。

クヌーセン数

Knudsen number。流体力学で用いられる無次元数で流れが連続体と見なせるかを示す値である。クヌーセン数が1より十分小さい場合は連続体として扱うことができるが、それ以外は希薄流体として扱う必要がある。クヌーセン数Knは次の式で求められる。

クヌーセン.jpg

グラスホフ数

流体において浮力と粘性力の比をとった値で、単位を持たない無次元量である。自然対流において流れが層流から乱流に遷移するかどうかを特徴付ける値であり、グラスホフ数が大きい場合は、浮力の影響が強いため乱流となる。

グラスホフ.jpg

ゲート
射出成形において、溶融樹脂がランナーから成形品に充填される際の、成形品への流入口のこと。ゲートにはさまざまな形状があり、製品の用途や形状、樹脂の種類などの条件によって最適な形状が決まる。
ゲートシール
ゲート部分で溶融樹脂が固化する現象のこと。ゲートシールが発生すると、キャビティ内に保圧がきかなくなり、ランナー以降に溶融樹脂が届かなくなる。
形状最適化
対象領域の外形形状を、制約条件を満たしつつ変更することにより最適な形状を求めること。その領域に穴を空けたりすることはない。
結晶化温度
結晶性樹脂において、溶融状態の樹脂の温度が低下していき固化するときの温度のこと。
結晶性樹脂
固化したときに分子が規則的に並んだ結晶部分を持つ樹脂のこと。ポリエチレンやポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどが結晶性樹脂である。
検査体積
流体領域に設定し、質量保存則や運動量保存則などを適用して流れを考察するための仮想的な体積のこと。コントロールボリュームとも呼ぶ。
コア層

射出成形時に金型内に充填された樹脂は金型によって冷却されるため、金型近傍では急冷された層が、金型と金型の中央部では徐冷された層が形成される。中央部の徐冷された層をコア層と呼ぶ。

硬化則
金属材料など、ひずみの増加に伴い変形抵抗を増し、降伏点が上昇する。それを硬化と呼び、等方、移動など 種類がある。
格子法
数値計算を行う際、格子を使った離散化方法のこと。連続的な計算領域を格子を使って小さな領域(コントロールボリューム)に分割し、格子によって計算点を定義する。格子法には、有限体積法、有限要素法、差分法の3種類がある。
拘束
シミュレーションをおこなう際、物体の節点の自由度を制限すること。例えば、頑丈な台の上に鉄板が溶接されている場合、上から押す圧力をかけても、鉄板の底面は下方向に変形できないので、その軸方向には拘束されていることになる。
降伏応力
降伏強さとも呼ばれる。(降伏強さの項を参照)
降伏強さ
材料に力を加えたときに、材料が変形して除荷しても元に戻らなくなるときの応力のこと。降伏点とも呼ぶ。
抗力係数

抗力とは流体中に置かれた物体に働く力の流れに平行な方向の成分である。抗力Dは一般的に次の式で表すことができる。

koryoku01.jpg

このCdが抗力係数で抗力を動圧と代表面積で無次元化したものである。
抗力係数は流れに対する物体の形状や流体の粘性、流れの速さなどによって変化する。

 

混相流解析
固相と液相、液相と気相のように、複数の相が混在している流れを混相流と呼ぶが、その混相流現象を計算によってシミュレーションすること。
最小クッション

射出成形では、加熱筒で樹脂を溶融させ、スクリューで計量を行う。計量後、スクリューを前進させ樹脂を金型内に充填する。 充填後、スクリューの先端が最も前進した位置を最小クッション(最小クッション値)と呼ぶ。最小クッションは数mm程度で、ショット時のばらつきを吸収する役割を果たす。

材料座標系
要素に対する材料の方向を示すもの。等方性の材料の場合、意味をもたないが、異方性をもつ材料の場合は適した方向の座標系を設定する必要がある
材料非線形
非線形条件による剛性の変化する要因の一つ。塑性変形など応力とひずみが比例関係にないもののこと。他にもクリープや超弾性、粘弾性なども材料非線形の一部。
サブクール
冷媒を与えられた圧力のもとで、凝縮温度以下に冷却すること。過冷却とも呼ぶ。相変化を伴う伝熱解析においては、液体全体の温度は飽和温度(沸点)より低いが伝熱面表面で沸騰することをサブクール沸騰と呼ぶ。またこの時の温度差をサブクール度と呼ぶ。
参照温度
モデル内の応力がゼロの時の温度のこと。室温やその他の標準温度などを参照温度として使用する場合が多い。
自然対流
ファンやポンプなどの流れを駆動する要因がなく、流体の温度差で生じる浮力のみによって駆動される流れのこと。
実在気体
理想気体の状態方程式からのずれが無視できないような気体(の状態)。
質量分率
ある混合気体や混合液体などを考えたときに、混合気体や混合液体を構成している特定の成分の質量の割合を表したもの。
質量保存式
流体力学における基礎方程式のひとつ。流体の流量質量(単位時間当たりに断面を通過する流体の質量)は流線上のどの断面でも常に一定であることを表す式。連続の式とも呼ばれる。
質量密度
単位体積当たりの重さ。
質量流量

単位時間あたりにある面を通過する流体の質量。単位は[kg/s]が用いられる。流体の密度が一定の場合、質量流量m(mの上に点がつきます)は次の式で求められる。

質量流量.jpg

シャーウッド数

Sherwood number。流体の物質伝達に関する無次元数であり、伝熱におけるヌセルト数に相当する。シャーウッド数Shは次の式で求められる。

シャーウッド.jpg

射出圧力
射出成形において、樹脂を押し出す圧力のこと。金型内に溶融樹脂を充填する1次圧とヒケなどを防止する2次圧(保持圧力)がある。
射出成形ペレット
樹脂の射出成形で使われる原料のこと。樹脂と特性を改善するための添加剤を溶融して練り合わせたもので、直径3~5mm程度の粒状である。
射出速度
射出成形において、金型内へ溶融した樹脂を充填する速度(スクリューの前進速度)のことで、国際単位系では単位として「ミリメートル毎秒」(mm/s)が用いられる。 単位時間当たりの射出体積として考えた場合には「射出率」と呼び、単位は「立方センチメートル毎秒」(cm3/s)となる。
射出容量
射出成形機が1回の射出行程で射出できる成形材料の容積または重量のこと。
収束
有限要素法でのメッシュサイズにおける解の収束の判定。 メッシュサイズが粗いと応力は低めに算出されるが、メッシュサイズを一定より小さくすると解が横ばいになる=収束していると判断できる。 拘束位置付近や変形が少ない位置は早めに収束する。 解析上、収束しない部位(特異点)が発生する場合もある。
自由表面
液体が他の流体と混ざらずに接触しているときに、その境界面のこと。密度比が1000程度ある液体と気体の界面は、通常自由表面となる。
シュミット数

Schmidt number。流体の動粘性係数と拡散係数の比をとった値の無次元数である。速度境界層と濃度境界層の厚さに関係する値で、気体では1程度、液体では100~1000程度である。シュミット数Scは次の式で求められる。

シュミット.jpg

ショートショット
射出成形において、金型内の一部に樹脂が充填されず、成形品が欠けてしまい不完全な形状となる成形不良のこと。
衝撃波
圧縮性流体で用いられる用語。流体中の音波は音速でしか伝播できないため、流速が音速を超えると、音波の先端の背後に圧力や密度が急激に増加する不連続面が生じる。これを衝撃波と呼ぶ。
状態方程式
熱力学における状態量の間の関係式のこと。一般的には流体の圧力を温度、体積と物質量で表す式を指す場合が多い。理想気体の状態方程式はPV=nRTとなる。
真円度
どれだけ綺麗な円形であるかを示す値。JISでは、「円形形体の幾何学的に正しい円からの狂いの大きさ」と定義されており、いくつかの算出方法がある。
シンクマーク
樹脂の成形品の表面に見られる凹みや歪みなどの現象の呼び名。ヒケとも呼ぶ。
垂直応力
物体内部のある面に対して垂直方向に働く応力のこと。解析では、プラスの数値が引張応力を示しマイナスの数値が圧縮応力となる。
スキン層

射出成形時に金型内に充填された樹脂は金型によって冷却されるため、金型近傍では急冷された層が、金型と金型の中央部では徐冷された層が形成される。この急冷された金型近傍の層をスキン層と呼ぶ。スキン層はコア層よりも強度が低い。

ストークス数

Stokes number。流体中の粒子に働く相対的な慣性力に関する無次元数である。粒子の流体への追従性を示す値であり、ストークス数が十分に小さければ粒子は流体の流線に沿って移動することを意味している。ストークス数Stは次の式で求められる。

ストークス.jpg

スプルー
射出成形において、射出装置のノズルから射出された樹脂を金型内へ送り込むための通路のうち、射出装置のノズルからランナーまでを一直線に繋ぐ円すい形の流路のこと。
スロッシング
容器内の液体の液面が外部からの比較的長周期な振動によって、大きくうねる現象のこと。このうねりによって、構造が破壊されたり、液体が容器からあふれ出ることがある。
寸法最適化
対象領域の各寸法を制約条件を満たしつつ変更し最適化すること。
成形サイクル
射出成形において、1回の射出成形加工が開始してから終了するまでの時間のこと。型閉時間と充填時間、保圧時間、冷却時間、型開時間、取り出し時間の合計である。
静的/動的接触角
固体表面上の液滴が表面に対してなす角(液滴内部の角)を接触角と呼ぶ。液滴が固体上に静止しているときの接触角を静的接触角、液滴が動いているときの接触角を動的接触角と呼ぶ。
絶対湿度
乾き空気中に含まれる水蒸気量を示す値。絶対湿度には容積絶対湿度と重量絶対湿度(混合比)の2種類がある。容積絶対湿度とは空気1㎥あたりに含まれる水蒸気の質量で単位は[g/㎥]が用いられる。重量絶対湿度は乾き空気の質量に対する水蒸気の質量の比で単位は[kg/kg(DA)]が用いられる。
節点
有限要素法では、連続体を要素に分割した際、要素の境界上に位置しそれらを結合する点のこと。自由度や作用の影響を考慮する点である。
全圧
動圧(流速による圧力)と静圧(流速以外による圧力)の和。よどみ圧とも。よどみ点に達する流線では全圧は一定でよどみ圧に等しい。
繊維配向
材料中の繊維の配列方向のこと。代表的な繊維配向として、一方向性配向、多軸方向性配向、ランダム配向がある。
遷移沸騰
伝熱面から液体への熱伝達においては、伝熱面の温度上昇に伴って熱流束(単位面積、単位時間あたりの熱の移動量)が増加していくが、ある点(限界熱流束点)を過ぎると熱流束が低下する現象が起こる。この現象を遷移沸騰と呼ぶ。核沸騰(伝熱面から気泡が発生する沸騰)と膜沸騰(伝熱面が蒸気膜で覆われて伝熱面と液体が直接触れ合わない状態での沸騰)の間の領域。
全温度
圧縮性流れにおいて、流線に沿った運動エネルギとエンタルピの和を全エンタルピという。エンタルピを比熱と温度を用いてCpTと表したとき、よどみ点におけるエンタルピCpT0は全エンタルピに等しく、このとききの T0を全温度という。
線形
線形とは、グラフが直線状になる関係であり、有限要素法においては、変形が微小で材料の弾性領域の範囲内での解析を線形解析と呼ぶ。
せん断応力

流体力学において粘性によって流れと平行な方向に働く力をせん断力と呼ぶ。単位面積当たりのせん断力のことをせん断応力と呼び、単位は[Pa]が用いられる。せん断応力τは次の式で求められる。

せん断.jpg

せん断発熱
流体同士あるいは流体と壁面の摩擦に伴うせん断応力によって生じる発熱のこと。
線膨張係数
温度の上昇によって物体の長さが膨張する割合を、1℃(K)当たりで示したもの。
相対湿度
ある温度の空気中に含みうる最大の水蒸気量(飽和水蒸気量)に対する水蒸気量の割合で単位は[%]である。天気予報など、一般的に湿度と言っているのは相対湿度である。
相変化
物質が条件によってある相から他の相へ変化すること。一般的には固相、液相、気相の3つの相があり、固相から液相、液相から気相などに変化することを相変化と呼ぶ。
層流
流れの状態の一つで、流体が規則正しく運動している流れのこと。レイノルズ数が小さいと層流になる。
塑性
荷重を除荷しても、元の形状に戻らない状態。
体積分率
ある混合気体や混合液体などを考えたときに、混合気体や混合液体を構成している特定の成分の体積の割合を表したもの。
体積流量

単位時間あたりにある面を通過する流体の体積。単位は[㎥/s]が用いられる。体積流量Qは次の式で求められる。

体積流量-.jpg

大変形
対象物が大きく変形することにより、その剛性が変化する。その現象は非線形解析現象のひとつで幾何学的非線形となる。
対流/熱伝達
伝熱形態の一つ。 熱エネルギーが固体と流体の間で高温部から低温部へ移動すること。または流体の流れによって熱エネルギーが運ばれること。
対流項

ナビエストークス方程式において流れによってその分布が移動するような効果を表す。速度の2乗の形で表される非線形項である。移流項とほぼ同義語だが、移流が水平方向の移動を表し、対流が水直方向の流れを表し区別することもあるため、対流項と表現することが多い。

多数個取り
射出成形において、1つの金型で同じ形状の成形品を複数個、同時に成形する方法のこと。
縦弾性係数
ヤング率とも呼ばれる。(ヤング率の項を参照)
縦弾性係数(縦弾性率)
ヤング率とも呼ばれる。(ヤング率の項を参照)
ためらい現象
射出成形において、局所的に樹脂の流動が躊躇する現象のこと。ためらい現象が起きると、充填が不十分になり、品質が低下する。
弾性
荷重と応力、もしくは変形が比例関係にあるもの。
直交座標系
座標軸が互いに直交しているx軸、y軸、z軸による座標系。デカルト座標系とも呼ばれる。
チラー
金型の冷却などに利用する冷水を生成する装置のこと。空冷式と水冷式に大別される。
突出し可能温度
溶融していた樹脂が固化する温度のこと。成形品全体がこの温度に達すると、品質を低下させずに、成形品を金型から突き出して取り出すことができる。
転移温度
相転移を起こす温度のこと。沸点や融点、凝固点も転移温度の一つである。
伝導
熱や電気、音などが物質内を伝わって移動していくこと。熱が伝わることを熱伝導、電気が伝わることを電気伝導と呼ぶ。
動粘性係数

粘性係数を密度で割った値で、単位は[㎡/s]が用いられる。流れの伝わりやすさを表した値で大きいほど伝わりやすくなる。空気と水では粘性係数は水の方が大きいが動粘性係数は空気の方が大きくなる。

等方硬化
降伏曲面の中心は移動しないが、その曲面の大きさが大きくなる。
特異点
有限要素法でのメッシュサイズにおける解の収束の判定で、収束しない位置のこと。 理論上は無限大になるため、メッシュを細かくするほど応力が高くなる。 フィレットで丸められていない切欠き部や応力集中箇所などに発生しやすい。
トポロジー最適化
位相最適化とも呼ばれる。(位相最適化の項を参照)
ドリフト速度
気液二相流における気相や液相の速度と混合流体平均速度との速度差。
トルク
回転運動において、回転軸周りの力のモーメント(力と距離の積)であり、ねじりの強さとして表される。単位は[N・m]が用いられる。
ナビエストークス方程式
流体の運動を記述する2階非線形偏微分方程式であり、古典力学における運動方程式に相当する。式が複雑なため一般解は見つかっておらず、いくつかの仮定を入れて、数値的に解くのが普通である。
ヌセルト数

対流する流体の熱伝達と熱伝導の比をとった値で、単位を持たない無次元量である。ヌセルト数が大きいほど、対流による熱輸送効果が高いことを示す。

formula_nuselt.jpg

熱可塑性樹脂
加熱することで溶融し、冷やすと固化する性質を持つ樹脂のこと。固化後、再び加熱すればまた溶融するためリサイクルが容易である。ポリエチレンやポリプロピレン、ポリアミド、ABSなどが代表的な熱可塑性樹脂である。
熱硬化性樹脂
加熱することで硬化し、一度冷やすと再加熱しても溶融しない性質を持つ樹脂のこと。機械的強度と耐熱性に優れている。ベークライトなどのフェノール系樹脂やエポキシ系樹脂などが代表的な熱硬化性樹脂である。
熱コンダクタンス
伝熱において、熱エネルギーの伝わりやすさを表す値で、値が大きいほど熱がよく伝わることになる。 熱抵抗の逆数であり、単位は[W/K]が用いられる。
熱通過率
壁の両側に温度が異なる流体が存在する場合、壁を貫通して、高温側の流体から低温側の流体へ熱が伝わる。この現象を熱通過と呼ぶが、その熱の伝わりやすさのこと。
熱抵抗

熱の流れにくさを表す値。単位は[K/W]が用いられる。

熱伝達率

固体と流体の間での熱エネルギーの伝わり易さを表す値であり、熱伝達係数とも呼ばれる。 流体の種類や流れの状態、固体の表面状態によって変化する。単位は[W/㎡・K]が用いられる。

熱電対(シースサーモカップル)
2種類の金属線を先端で接合させた温度センサで、接合点に発生する熱起電力によって温度差を計測する。応答が早く、広範囲の温度測定が可能、安価で入手しやすいことなどが利点だ。
熱伝導率
伝導による熱の伝わり易さを表す物性値。 単位は[W/mK]が用いられる。
熱膨張率
温度の上昇によって物体の長さや体積が膨張する割合を、1℃(K)当たりで示したもの。熱膨張係数とも呼ぶ。長さが変化する割合を「線膨張率」、体積が変化する割合を「体積膨張率」と呼ぶ。
熱容量
物体の温度を1K(1℃)上げるために必要な熱量のこと。熱容量が大きいほど温めにくく、冷めにくいことになる。単位は[J/K]が用いられる。
熱流束
単位時間・単位面積あたりに発生/流入あるいは流出する熱量のこと。 単位は[W/m2]が用いられる。 また熱流束は方向性を持ったベクトル量であることに注意すること。
熱流量
単位時間当たりの熱量のこと。 単位は[J/s]=[W]が用いられる。
熱量
熱のエネルギー量を数値で表したもの。 単位は[J]が用いられる。
粘性係数
流体の粘りの度合いを表す指標で、単位は[Pa・s]が用いられる。温度や物質の種類に依存した物性値であり、粘性係数が大きいほど粘りが強い流体ということになる。
粘性項
ナビエストークス方程式において、流体の粘性により、流れの分布が均一化、安定化させる効果を表す。拡散項ともいう。
パーティングライン
射出成形において、金型を構成する際にできる分割ラインのことで、成形品表面にわずかな出っ張りが生じる。
バッフル
射出成形において、金型を冷却液によって冷却する際、冷却スロットに挿入される金属板のこと。バッフルによって、冷却液の流れを制御する。
ばね定数
ばねに負荷を加えたときの荷重をばねの伸びで割った比例定数。ばねの線径が太いとばね定数は大きくなり、巻き数が多く、コイル径が大きいとばね定数は小さくなる。単位としては「ニュートン/ミリメートル」(N/mm)が用いられる。
バブラー
射出成形において、金型を冷却液によって冷却する際、通常の冷却管では効果的な冷却が困難な領域に冷却液を迂回させる装置のこと。
パラメーター
拘束・荷重条件、材料特性、寸法などの変数として設定されるもの。
バリ
フライス切削や穴空け、旋盤加工などの切削・切断加工の際に、加工部に生ずる不要な突起のこと。射出成形を行う際に、できあがった成形品のパーティングラインに生じる薄膜状のものもバリと呼ぶ。
バルブゲートホットランナー
樹脂射出成形用のホットランナーにおけるゲート方式の一つで、内部にゲートを開閉するバルブ機構を搭載したもの。溶融した樹脂のたれ落ちや糸引きを防ぎ、製品重量の安定や外観品質の向上に繋がる。
反力
物体にかかる外力に対して、支持箇所に発生する力のこと。静的な解析では反力と外力が釣り合う必要がある。
ピーク圧力
射出成形において、金型内へ溶融した樹脂を充填する際に、射出装置にかかる最大の圧力のこと。基本的にはV/P切換えの直前がピーク圧力となる。
ヒート&クール
射出成形において、成形品に発生するウェルドラインを解消するために開発された技術であり、金型表面を一時的に加熱することで、キャビティに接触した溶融状態の樹脂の急激な冷却を抑え、weルドラインの発生を抑制する。
非圧縮性流体
流体力学において圧力や温度による密度の変化が無視できるほど小さい流れのこと。厳密な非圧縮性流体は存在しないが、身の回りの流れの多くは非圧縮性流体と仮定できる。
ヒケ
主に射出成形に見られる現象で、成形品の表面に凹みや歪みが発生する現象の呼び名。
非晶性樹脂
固化したときに分子が手を繋がず、不規則に絡み合ったまま固化する樹脂のこと。ポリ塩化ビニルやポリスチレン、ABSなどが非晶性樹脂である。
ひずみ
物体に力が加わり変形した場合に、元の形状に対してどれだけ変形したかを比率として表したもの。比率であるため単位を持たない無次元量である。
非線形

ある構造物の荷重と変位の応答が直線のような線形ではなく、なんらかの要因により剛性が変化し一定ではなくなること。一般に非線形解析のほうが線形解析よりも計算が困難である。

引張強さ
破断する前に材料に表れる最大の引張応力、あるいは材料が耐えうる最大の引張応力を引張強さと呼ぶ。
非定常/定常 計算
非定常計算とは、時間の経過により刻一刻と状態が変化する系を計算によって予測するものである。それに対して定常計算は、時間の経過に関わらず一定の状態を保つ系を仮定して計算するものである。
比熱
単位質量当たりの熱容量のこと。 1gの物体を1K(1℃)上げるために必要な熱量であり、圧力一定のときを定圧比熱、体積一定のときを定積比熱と呼ぶ。 単位は[J/g・K]が用いられる。
表面張力
液体や固体が表面をなるべく小さくしようとして表面に働く力を界面張力と呼び、特に液体と気体の間で起こる界面張力を表面張力と呼ぶ。
ファウンテンフロー
射出成形において、射出された樹脂が金型内部を通る際、流動先端では噴水が湧き出すような流れ方をする。この流れ方をファウンテンフローと呼ぶ。
フィラー
射出成形において、材料の樹脂に混ぜられる充填剤のこと。樹脂の物性を改善、向上される働きがある。
複屈折
異方性を持つ物質に光が入射するとき、2つの屈折光が現れる現象のこと。
ふく射
伝熱形態の一つ。 物体が熱エネルギーを電磁波として放出すること。熱放射とも呼ばれる。
フックの法則
力学や物理学における構成則の一種で、荷重が弾性限度以下なら、ばねの伸びと荷重は比例するという近似的な法則である。
沸騰/凝縮
液体が気体に変わる現象を気化と呼ぶが、気化はさらに蒸発と沸騰に分けられる。蒸発は温度に関係なく液体表面から気化する現象で、沸騰は温度が上がった時に液体内部から気化する現象である。 凝縮は逆に気体が液体に変わる現象である。沸騰する液体は熱伝導率が大きくなるため、それを利用した熱伝達を「沸騰熱伝達」と呼ぶ。また、凝縮の際に放出される潜熱を利用した熱伝達を「凝縮熱伝達」と呼ぶ。
プラテン(プラタン)
射出成形機に金型を取り付けるための盤状の機構のこと。固定側と稼動側がある。
プラントル数

動粘性係数と熱拡散率の比を取った値で、単位を持たない無次元量である。
流体における速度境界層と温度境界層の厚さの比を表す。

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フローフロント
射出成形において、射出された樹脂が金型内部を通る際、流動先端では噴水が湧き出すような流れ方をする。その先端部分をフローフロントと呼ぶ。
フローマーク
射出成形において、成形品の平らな表面に現れる成形材料の流れ縞のこと。外観不良の一種である。
分子配向
高分子固体を構成する分子の配列方向のこと。成形加工時に延伸を行うことで、分子鎖が特定の方向に揃い、分子配向性を持つようになる。
噴霧流
気液二相流の流動様式のひとつで、ボイド率(気相の体積割合)が大きいとき、気相中に多数の小さい液滴が分散した流れのこと。通常、ボイド率が0.7以上のときに噴霧流となる。
平面度
平面の滑らかさ(均一性)を示す値。JISでは、「平面形体の幾何学的に正しい平面からの狂いの大きさ」と定義されている。
ベルヌーイの定理
流体のエネルギー保存則である。ただしベルヌーイの定理は非粘性・非圧縮の理想流体を前提としており、摩擦のない定常流の必要がある。
ポアソン比
物体に弾性限度内で力を加えたとき、力に直角方向に発生するひずみと力に平行に発生するひずみとの比率。ヤング率などと同じく材料固有の定数。
ボイド
成形品の内部に生じた空隙状の欠陥のこと。不透明な成形品であれば外観的な影響はないが、物性的欠陥として問題になる。
ボイド率
気液二相流において気相の体積割合のこと。
放射率
物体がふく射により放出する熱エネルギーを同温の黒体が放出する熱エネルギーを1としたときの比で表したもの。 値は0~1の範囲となる。
飽和蒸気圧
ある温度において液体から気体になる気化と気体から液体になる凝縮の速度が等しく、気体と液体の量が変化していないように見える状態を気液平衡と呼ぶ。この気液平衡状態の時の気体の圧力を飽和蒸気圧と呼ぶ。
飽和水蒸気量
空気1㎥に含むことができる最大の水蒸気量。温度が高くなるほど大きくなる。単位は[g/㎥]が用いられる。
保持圧力
射出成形において、キャビティ全体に溶融樹脂が充填された後にゲートから樹脂が逆流しないように一定の圧力で、ゲートが固化するまでの間、加圧しておく圧力のこと。保圧とも呼ぶ。
ホットランナー
射出成形において、射出装置のノズルから成形品へ樹脂を流すための流路であるスプルーとランナーを溶融した状態で保ち、成形品のみを取り出す技術のこと。ランナーレス成形と呼ばれることもある。
ポンプ効率
ポンプに供給した動力に対するポンプのした仕事の比。様々な損失があるため、実機では、100%にはならない。ポンプの性能の指標として用いられる。
摩擦速度

壁面近傍の速度分布や摩擦抵抗を整理するとき用いられる。

摩擦速度.jpg

で定義され、速度の次元を持つ。

マッハ数

流体において流れの速さと音速との比をとった値で、単位を持たない無次元量である。マッハ数は、流れ場における圧縮性の影響の程度を表し、数が大きくなるほど圧縮性の影響が無視できなくなる。

マッハ.jpg

マランゴニ数

Marangoni number。表面張力の温度依存性による表面張力勾配が原因で生じる対流をマランゴニ対流と呼ぶ。マランゴニ数はマランゴニ対流の強度を表す無次元数である。マランゴニ数Maは次の式で求められる。

マランゴニ.jpg

マルチバレル成形
複数のバレルを使って1種類または複数の材料を射出する射出成型方法のこと。
マルチフィジックス
連成解析と同義語。構造解析、流体解析など、複数の解析を組み合わせることにより、実現象をより正確に再現しようとする解析方法。
ヤコビアン

変形勾配テンソルの行列式をとったもので、体積変化の比率を表す値のこと。要素の各節点でのヤコビアンを計算し、それらの最大値と最小値の比をヤコビアン比と呼ぶ。ヤコビアン比は1に近いほど要素の品質が高くなる。

ヤング率
応力とひずみが比例関係にある弾性範囲内の比例定数のこと。 単位は[ N/mm^2(MPa)] や[ kgf/cm^2] などが用いられる。 縦弾性係数(縦弾性率)とも呼ばれる。 横軸をひずみ、縦軸を応力で表現し、傾き=数値が大きいほど硬い材料と判断できる。
有限体積法
数値解析手法の一つで、解析的に解くことが難しい微分方程式の近似解を数値的に得る方法である。 方程式が定義された領域を有限個のコントロールボリュームに分割し、各ボリュームに対して積分型の物理量の保存方程式を適用するもの。有限要素法に比べて計算時間の面で有利であり、多くの流体解析コードに標準的な解析手法として採用されている。
有限要素法
数値解析手法の一つで、解析的に解くことが難しい微分方程式の近似解を数値的に得る方法である。方程式が定義された領域を小領域(要素)に分割し、各小領域における方程式を比較的単純な補間関数で近似し、近似解を求める。
陽解法
運動方程式を解くときに現在の値を用いて未来の値を計算する手法。収束計算を必要としないので1ステップあたりの計算量は少ないが、クーラン数が1以下になるような時間刻みを設定しないと安定した解を得ることができない。
要素
有限要素法では、連続体を分割し、有限な大きさを持つ部分領域の集合体として近似するが、その部分領域のこと。形状的には対象の連続体によって、線、面、立体がある。
揚力係数

揚力とは流体中に置かれた物体に働く力の流れに垂直な方向の成分である。揚力Lは一般的に次の式で表すことができる。

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このCLが揚力係数で揚力を動圧と代表面積で無次元化したものである。揚力係数は流れに対する物体の形状や仰角、流体の粘性、流れの速さなどによって変化する。

横弾性係数
せん断方向に関係する剛性。弾性範囲であれば、横弾性係数G、縦弾性係数E、ポアソン比νとした場合、G=E/2(1+ν)の比例関係となる。
よどみ点
流体力学において、流れの中で流速がゼロとなる点。流れの中におかれた物体の表面近くなどに発生する。
よどみ点温度
よどみ点での温度。よどみ点、全温度の項も参照のこと。
ランナー
射出成形において、射出装置のノズルから射出された樹脂を金型内へ送り込むための通路のうち、スプルーから成形品までを繋ぐ流路のこと。
ランナーバランス
多数個取りにおいて、各キャビティに流れる樹脂量のバランスのこと。充填バランスとも呼ぶ。
乱流モデル
乱流とは、大小の渦などが生じている流れ場のことで、現実世界の流れ場のほとんどが乱流である。乱流モデルとは、乱流を数値解析する際に用いられる数学モデル。主な乱流モデルにRANS、LESがある。
離散化
ある連続的な情報を、非連続の値に分割すること。離散化することで、近似的な計算結果を比較的容易に算出することができる。
理想気体

分子間力がなく、分子が大きさを持たないと仮定した仮想的な気体であり、その状態方程式は

理想気体.jpg

となる。この方程式が良い近似とならない気体(の状態)を実在気体と呼ぶ。

リタデーション
複屈折によってできた2つの屈折光の間の位相差のこと。
粒子法
連続体を有限個の粒子の集合としてみなし連続体の運動を粒子の運動で表す。粒子を計算点として扱い、格子(メッシュ)を用いない。例としてDEM法、MPS法、SPH法がある。
流束
流れの場、あるいはベクトル場の強さを表す量であり、英語では「フラックス」と呼ばれる。単位面積あたりの流束である流束密度を指して単に流束と呼ばれることも多い。
流動様式
気液二相流において流体が流れるときの気液混合と分布の状態を類型化したもの。気泡流、スラグ流、チャーン流、環状流、噴霧流などがある。
臨界流
圧縮性流体で用いられる用語。大気開放の開口部をもつノズルに圧力を加えて流体を加速するとき、流速が開口部の音速に等しくなるとそれ以上流量を増加させることができなくなる。このような流れを臨界流という。
レイノルズ数

流体の慣性力と粘性力の比をとった値で、単位を持たない無次元量である。流れの中で慣性力と粘性力のどちらがより支配的かを示し、レイノルズ数が小さい場合は層流に、大きい場合は乱流になる。

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レイリー数

流体において浮力と熱拡散の比をとった値で、単位を持たない無次元量である。グラフホフ数とプラントル数の積でもある。自然対流において伝熱現象を特徴付ける値であり、レイリー数が大きい場合は、浮力の影響が強いため自然対流が発生する。

レイリー.jpg

連続の式
流体力学における基礎方程式のひとつ。流体の流量質量(単位時間当たりに断面を通過する流体の質量)は流線上のどの断面でも常に一定であることを表す式。流体の質量保存式である。
ロケートリング
成形機と金型の位置決めに利用される金型から凸状に出っ張ったリングのこと。ロケートリングを成形機の固定盤中央に空いている穴に合わせることで、成形機と金型の位置決めができる。

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