樹脂流動解析で樹脂の流れ方に影響するパラメーターの話
プラモデルを作ったことありますか?
コロナ禍にネットで見かけたプラモデルをつい勢いで購入してしまった!
という方もいるかと思います。
実は私も昔からプラモデルが好きで仕事の合間をぬって、年に10個以上作ってます。
完成品を眺める カスタマイズする など色々な楽しみ方がありますよね。
かくいう私も、「40年前は接着剤もセットだったよな」「このパーツの再現度はスゲーな!」なんてことを思いながらプラモデルを作って楽しんでます。
金属製の型(一般的に金型と呼びます)に溶かしたプラスチックを流し込んで各パーツを射出成形と呼ばれる手法で作ります。簡単に思えるかもしれませんが、高い温度と高い圧力で流し込む必要があり、そこには多くのノウハウが詰め込まれています。
かつては経験と勘で行っていた金型づくりも、昨今では樹脂流動解析ソフトウェアが多用されるようになり、金型内の温度や圧力を容易に予測できるようになりました。
今回は、樹脂流動解析ソフトを使う上で必ず設定する“材料”のお話です。
プラモデルの多くはPS(ポリスチレン)やABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)製です。プラスチックの種類にはPSやABS以外にも多様な材料があり、用途に適した材料が用いられています。
また、PSといってもいくつもの製造メーカー(レジンメーカー)が存在し、グレード(型番)が複数ラインナップされています。それぞれ“流れやすさ”が異なるため、もちろん金型内の挙動も変化します。
この“流れやすさ”には静的粘度と動的粘度があります。粘度とは文字通りネバりの度合いで、流体(ここでは主に液状のものと思ってください)の特性を表します。
静的粘度は「メルトインデクサー」という装置を使用して測定した「MFR(メルトフローレート)」という指標があります。具体的には一定温度と一定荷重の条件下で10分間に“押し出される量”を測定します。製造メーカー(レジンメーカー)の材料カタログにたいてい記載されているので、目にすることも多いと思います。
一方、動的粘度は「キャピラリーレオメータ」という装置を使用して「粘度カーブ」を作成します。具体的にはせん断速度(ここでは速度と思ってください)を変化させながらプラスチックの応力を測定し、得られたデータからグラフが作成されます。これは“せん断速度と温度の依存性”を評価したものになります。ここまでの説明から「MFR」は「粘度カーブ」のグラフ上のある一点とみなせることが理解できると思います。
射出成形において金型内部のプラスチックは常に温度や速度が変化します。つまり、樹脂流動解析ソフトでは動的粘度を使用しなければならないことがお分かりかと思います。
さて、冒頭でもありましたが、プラスチックの種類は多種多様です。いざ樹脂流動解析ソフトを使ってみよう!としても、登録されているとは限りません。使いたい材料の登録がなく、動的粘度もわからない場合、どうしたらよいと思いますか?
1つには、代替材料を決めて解析する方法があります。ただし、一番よいのは実際の成形材料の物性を測定して解析に使用することです。
弊社サービス「PMMS」では、さまざまな測定項目を行い、測定データを樹脂流動解析ですぐに使えるデータとして納品します。 お客様にご用意いただく物は測定する材料だけです。成形条件を解析に反映させても中々結果が合わないなど、材料データの精度に疑問をお持ちの方にはぜひご検討いただければと思います。