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Technical information (Column)技術情報(解析コラム)

2024.04.15

後片付けから学ぶ缶の座屈解析の話

花の美しい季節が到来しましたね。先日、私は花見を楽しむ機会がありました。 お酒を楽しんだ後、空き缶の後片付けを始めたところ、用意していたごみ袋には全ての缶が入りきらないことに気づきました。ごみ袋に入らなかった缶は全体の約1/3でした。そこで、缶の高さを半分に潰すと、その容積もほぼ半分になるという考えに基づき、全ての缶を潰し始めました。結果として、予想通り全ての缶がごみ袋に収まりました。

経験から、缶を縦に潰すよりも横に潰す方が力を少なくて済むことは知っています。しかし、実際に缶を縦に潰すのと横に潰すのに必要な力の差がどれくらいあるのか、具体的に知りたくなり、解析を行ってみました。

まず、缶を潰すときに生じる現象を考察しました。缶を縦に潰すために荷重を加えていくと、ある一定の荷重を超えると急激に大きなたわみが生じます。この現象を「座屈」と呼びます。今回はこの座屈現象を解析する必要があります。

CAEの座屈解析には、大きく分けて線形座屈解析と非線形座屈解析の2つがあります。線形座屈解析は、座屈固有値解析あるいは固有値座屈解析とも呼ばれ、固有値問題として計算を行い、座屈モードと座屈荷重を予測します。しかし、座屈後の挙動を予測することはできません。そのため、非線形座屈解析を行う必要があります。また、非線形座屈解析を行うためには、構造的に不安定な状態になっても計算を続行するための解析テクニックやソフトウェアの機能が必要となります。

今回は、缶を約半分の大きさに潰す解析を行うため、非線形座屈解析を行う必要がありました。CAEソリューションズで取り扱っている構造解析ソフトウェアの中で、非線形座屈解析に強いAbaqusを使用しました。

Abaqusで非線形座屈解析を行う場合、最初に線形座屈解析から求めた座屈モードを用いて初期不整を与えて計算します。0.2秒間に缶の高さを半分にするという条件で非線形座屈解析を行い、缶の挙動を求めました。

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また、荷重と変位の関係を示すグラフを作成しました。
解析の結果、缶を縦方向に潰す場合は横方向に潰す場合よりも約1.3倍の力が必要であることが明らかになりました。これにより、少ない力で缶を潰すためには横方向が適していることが技術的に証明されました。

 

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